No.05575 26.09.03 マイルス・デイビスのいつか王子様が

「いつか王子様が」はディズニーアニメ「白雪姫」の挿入歌。
ジャズによく取り上げられる。
1961年にマイルス・デイビスが演奏し、同タイトルのアルバムがある。
このアルバムが全体的に他のマイルスのアルバムと比べて明るい雰囲気に聞こえるのは、アルバムジャケットにその要因がある。
黒人女性が一人、クリーム色の背景に笑っているような、すましているような表情で写っている。
マイルスのアルバムジャケットはたいてい陰鬱な暗い雰囲気のものが多いが、これだけは違う。
この黒人女性はマイルスの最初の妻、フランシス・テイラー。
テイラーは1951年パリ・オペラ座バレエ団の特別公演に起用され、同バレエ団の舞台に立った初のアフリカ系アメリカ人となり、その後テレビやブロードウェイで活躍するダンサーであり、俳優だった。
ブロードウェイの「ウエイト・サイド物語」に出演し、映画にも誘われるがそれを断る。
マイルスと結婚し、マイルスが出演を拒否したらしい。
よほど一緒にいたかったらしく、他のオファーもマイルスが断っていった。
二人が一番熱々の頃のアルバムで、それが音にも現れたようだ。
マイルスの他のアルバムにはないウキウキ感があるような気がする。
ピカソほどではないけど、マイルスも女性に影響を受けるアーティストだったと言えるだろう。
他の二人の奥様もアルバムの表紙になっているが、フランシスほど明るい雰囲気ではない。

No.05572 26.08.31 父の本が再発売

父の書いた「幕臣列伝」という本が新装され発売された。
来年の大河ドラマと関係があるようだ。
初版は1981年だったので、45年も前の作品。
歴史書のようなものなので、古くても価値があるのかも。
当時僕は浪人中。
自分のことしか考えていなかった。
父の仕事に関して話をするようになったのは僕が会社を辞めてから。
学生の頃にはたいした話をしなかったけど、考え方の芯は似ている気がする。
相方がはじめて父に会ったとき、「ようじは理屈っぽいだろう」と言っていたが、それはあなたに育てられたからです。

No.05522 26.04.15 イーハトーブの夢 

宮沢賢治は心象風景の場所イーハトーブを作り出した。
のちにいろんなものの名前となっている。
テレビ番組
高速バス
競馬大会
岩手銀行のインターネット支店
大瀧詠一の変名「イーハトーブ田五三九」など。
宮沢賢治はどう思っているだろうか?
喜んでいるだろうか?
「俺の心象風景を勝手に使うな」と怒っているだろうか?
デクノボーと呼ばれたかったのだから、きっと笑っているだろう。

No.05490 26.01.18 久米宏さんのニュースステーション

久米宏さんが亡くなって、YouTubeに何本も出演した番組の録画が上がっている。
かつて毎日のように見ていたニュースステーションの録画もある。
久しぶりに見ると、今のアナウンサーとは違って自由にしゃべっている雰囲気が素敵。
「政治家はみんな嘘つき」みたいなことをサラッと言ってる。
マスコミは政権与党の問題点を指摘するのが仕事と考えていたようだ。
板挟みになっていたこともあっただろう。
R.I.P.

No.05461 25.11.14 形象理論とその超越

戦前の国語教育のレベルの高さに驚き、No.05456を書いたが、その根拠は垣内松三の形象理論にあった。
形象理論を理解するために垣内の論文を読んだが、そこまで考えて初等教育の読み方、書き方を教えるのかと唖然とした。
現代では成人でも理解し難い言語に関する考察を尽くした上で初等教育にあたる。
そのような論文を読んでいると、なぜ人間はカルトにはまるのかとか、特攻隊員がなぜ自らの意思で敵戦艦に突っ込んで行ったのかなどが理解できる。
現代ではそれが危険な思想だからと避けることによって大切な概念にたどり着けない状況がある。
しかし、それを理解し尽くせば、カルトにはまることもなくなると思うのだが、大切な概念を超えていく意思がないと、確かにはまってしまうのかもしれない。
その「大切な概念」とそれを「超えていく意思」とはどのようなものかを伝えていきたい。

No.05442 25.10.13 雪の降る街を

女性合唱団アンサンブル・アクア・ジャパンの第一回公演を聞いてきた。
藝大出身者が中心らしく、見事なハーモニーが聞けた。
指揮者の三好郁夫氏は藝大を卒業し1984年からスイスで活動。
三好氏が日本に滞在中にのみ活動するプロジェクト合唱団だそうだ。
長年ヨーロッパ圏にて向こうの言葉で演奏活動してきた三好氏にとって、日本で日本語の曲を指揮することはとても心が震えるもので、その様がよく演奏に表れていた。
そのコンサートの最後の曲が「雪のふるまちを」だった。
それを聞いて古い記憶の扉が開いた。
まず一つは、僕が高校一年の音楽の授業で、期末試験としてこの歌をピアノ伴奏を編曲した上で歌ったこと。
もう一つは、母がユトリロの絵が好きで、この曲を聴くたびにユトリロの描いた冬の街を思い出すこと。
僕は「雪の降る街を」と記憶していたが、調べると、最初「雪の降るまちを」と表記されたが、発表のたびに「雪の降る町を」「雪の降る街を」と変化したそうだ。
アンサンブル・アクア・ジャパンのプログラムには「雪のふるまちを」と記載されていた。
その変遷にはどんな物語が隠されているのか、興味が生まれた。

No.05437 25.10.03 佐々木朗希のクローザー

今年のはじめに鳴り物入りでドジャースに入団した山本由伸と佐々木朗希。
山本は期待された役割を果たしているが、佐々木は故障者リスト入りしてシーズンを棒に振った。
その佐々木がワイルドカードシリーズの第二戦にクローザーとして登場した。
第一戦も第二戦もドジャースはリードしながらも後半戦で追い上げられてしまう。
第一戦は何とかリードを保って終わったが、第二戦は逆転されてしまうのではないかとファンは心配する。
そこで登場したのが佐々木だ。
球場はヒートアップする。
復調しているなら勝てるかもしれないが、シーズンはじめと同じなら逆転されかねない。
2019年、甲子園に出場するための決勝戦から佐々木を知っていると、どうしても腕の負担を心配してしまう。
その心配をはねのけた、見事な投球だった。

No.05426 25.09.06 江島杉山神社

10年ほど前に一度だけ行った神社をふと思い出した。
また行ってみようかと思う。
徳川綱吉の宿病を癒し、関東惣録検校職に命ぜられた杉山和一が綱吉から「何が欲しい」と聞かれ、「ひとつでいいから目が欲しい」と答えたら、本所一ツ目の土地をもらったという。
そこに江ノ島から勧請して神社を建立した。
江ノ島の洞窟を模した洞窟も作られた。
https://www.tsunabuchi.com/waterinspiration/p3709/

No.05400 25.07.04 灰のお掃除

相方が毎日仏壇に手をあわせる。
僕も二、三日に一度は線香をあげる。
だからひと月もするとお線香立ては燃えさしの線香の根元が数十も溜まるので、線香を立てにくくなる。
すると相方は灰からピンセットで燃えさしを抜いていく。
一本一本抜いてはお線香立てのふちでトントンと灰を落としてティッシに取る。
はじめのうちはたくさんあるから簡単に取れるが、ある程度取り切るとなかなか探せなくなる。
すると相方は灰の中をピンセットでぐるぐるとまわしながら探り出す。
繊細な感覚を研ぎ澄まして探していく。
それを隣で見ているのが好き。

No.05398 25.07.01 理会する

小学一年生が習うはずだったことをいま学び直している。
小学一年生が習うことなんてとても簡単で学び直す必要なんてないと普通は思うだろうが、明治11年生まれの教育者、垣内松三の本によると、理会することを前提に小学一年から教えないとならないという。
「理会する」とはどういうことか。
「理解する」より深い内容を読み取っていくことをいう。
例えば文体や使っている単語から、作者が何を表現したいのかを読み取る。
さらに作品に登場する人たちが、どんな社会的背景を持ち、どんな暮らしをし、どんな境遇にいるのかを読み取る。
その上で、文章に潜む核心を掴んでいくというのだ。
そのようなことができるように初学者(小学一年生)から教えていかなければならないという。
戦前の教育者は、日本語の深い意味を汲み取れる人になるように、初学者から導いていくように、それができる人にどうしたらなれるかを学んでいた。
かつての日本語教育の質の高さを実感する。