昔、吹奏楽団の指揮をしていたことがあるので、演奏会が終わると花束をいただいた。
とても嬉しいのだが、恥ずかしいような気もした。
何度かいただいて慣れてしまうと良くないなと思った。
心の一部では慣れてしまったが、別の部分では照れながら、また別の部分では喜ぶ。
複雑な心が生まれる触媒だった。
No.05306 24.10.26 太宰治短編小説集
太宰治の小説は中学生の頃にいくつか読んだ。
もう半世紀前のこと。
アマゾンプライムに「太宰治短編小説集」という映像作品があったので見た。
2010年頃、NHKでオンエアされたものをまとめたらしい。
シーズン1エピソード1には「御伽草子より カチカチ山」「トカトントン」「女生徒」「キリギリス」が入っていた。
作り方はとても斬新で面白かったが、特に小説の文章がときどきそのまま文字として出てくる。
「御伽草子より カチカチ山」「トカトントン」は読んだことがなかったのでどうということはなかったが「女生徒」で驚いた。
小説の文章を読まされるとき、半世紀前の記憶が蘇った。
たった一度しか読んでないはずだが、次の文章が浮かぶところがあった。
ところどころ「次はこう」と思い出す。
「キリギリス」ははじめの数秒で物語をほとんど思い出した。
「女生徒」も「キリギリス」も、タイトルだけでは読んだかどうだか思い出さなかったのに。
半世紀のあいだ記憶に残る文章。
太宰はすごい。
No.05299 24.10.18 霧雨
霧雨のなか散歩した。
シャツが湿った。
でも気持ちいい。
洋服が濡れるくらいでガタガタいうなという気分。
子供の頃、服を泥だらけにしたことを思い出す。
No.05294 24.10.09 アイスクリームメイカー
幼い頃、うちにはアイスクリームを作る機械があった。
円筒形のアルミ製カップに牛乳と卵、それからバニラエッセンスを入れて、モーターと羽根のついた蓋を閉める。
蓋にはコードがついていて電源に刺してスイッチを入れると羽根がくるくると回って牛乳や卵を撹拌する。
その機械全体を冷凍庫に入れておく。
するとアイスクリームの出来上がり。
牛乳と卵をただ凍らせるとガチガチのかたまりで食べられないが、この機械に入れておくと攪拌されてアイスクリームに空気が入り、柔らかくなる。
学校から帰って冷凍庫からコードが出ているとアイスクリームを作っている証拠。
それを見つけると母さんが盛り付けて出してくれるのが待ち遠しかった。
No.05293 24.10.08 ベートーベンピアノ協奏曲第五番皇帝
相方と話していて「あれって皇帝だっけ?」と言われ、ベートーベンピアノ協奏曲第五番を思い出す。
僕が小学生の頃に兄が三曲のピアノ協奏曲が入っているアルバムを買ってきた。
その中に「皇帝」も入っていた。
他の二曲はモーツアルトの二十番と二十七番。
どれもいい曲だけど、小学生の僕には「皇帝」が一番カッコよかった。
ピアノはゼルキン、楽団はニューヨークフィル、指揮はバーンスタイン。
久しぶりに探し出して聞いた。
No.05292 24.10.06 無人販売店
テレビで野菜の無人販売店を見た。
野菜が並んでいて、価格が書かれていて、買いに来た人はその金額をどこかに置いていく。
それで思い出した、ハワイ島でのこと。
車で走っていたらレイがたくさんかけてあったので、なんだろうと思って止めた。
歩み寄ると「レイひとついくら」と書かれていて、そばにはポストのような箱が置かれていた。
いくらだったが忘れたが、その金額をポストにいれ、レイを車で待っていた相方にあげたら、喜んでくれた。
ケアラケクア湾、キャプテンクックの碑が見えるところの近くだった。
No.05291 24.10.04 ギンナンの香り
近所の公園のイチョウの木がギンナンを落としはじめた。
舗道でたくさん潰れていた。
そこを歩きながら香りを嗅いで「おや?」と思った。
「懐かしい香りだ」と思ったが、そのことに違和感を覚えた。
以前だったら「臭い」と思っていたはずだ。
匂いに鈍感になったのか?
No.05287 24.09.25 ドルフィン
映画「2010年」の主人公フロイド博士の奥さんがイルカの研究をしている人だった。
それを見て、ベルギーで会ったキャサリン・ダジンスキー博士を思い出した。
ジョン・C・リリー博士とダジンスキー博士と一緒に食事をして、二人の写真を撮ってあげた。
当時はまだフィルムカメラで、現像したら二人にあげると約束していた。
ところが、ブリュッセル中央駅でフィルムを入れたカバンを盗まれてしまった。
東京に帰ってメールで事情を伝えて詫びた。
リリー博士は日本でも何冊か翻訳本が出ているからご存知のかたはいるだろう。
イルカの研究をした博士で、映画「イルカの日」のモデルとなった。
人間の脳についても研究したため、「アルタード・ステイツ」という映画のモデルにもなった。
ベルギーで会ったとき、ダジンスキー博士の研究についてほとんど何も知らなかったので、話題の中心はリリー博士の研究だった。
中学生のとき「イルカの日」を見て以来、リリー博士は僕にとっての憧れの人。
その席にダジンスキー博士がいた。
そのときの雰囲気が映画「2010年」の主人公フロイド博士の奥さんに似ていた。
それで28年も前にたった一度会ったダジンスキー博士を思い出した。
2000年前後にイルカの研究で御蔵島にいたことは知っていた。
でもわざわざ会いに行くという関係でもないので、ずっと会わずにきた。
ネットで調べたら、ダジンスキー博士は「ドルフィン」という映画にご本人が出演している。
会ったのは1996年で、まだ映画「ドルフィン」は公開されていなかった。
映画「ドルフィン」を探してみた。
アマゾン・プライムビデオにあった。
音楽はスティング、ナレーションは007を演じたピアース・ブロスナンだった。
アカデミー賞の短編ドキュメンタリー部門でノミネートされたそうだ。
イルカと泳ぐシーンを見て、かつて毎年のように御蔵島に通ってイルカと泳いだことを思い出した。
No.05285 24.09.22 100歳
昨日、父の誕生日でした。
生きていたら100歳。
父は「敗者の文学」を追求していました。
僕が幼い頃は、「勝者の文学」を追求したほうが儲かって良いと思っていましたが、最近になって、やっとその深い意味が分かってきた気がします。
父さん、100歳の誕生日おめでとう。
No.05281 24.09.12 幸せであること
幼い頃、ジュースが飲みたいと駄々をこねました。
僕が幼かった頃は近所にコンビニなんてありません。
そこで母はどうしたか。
コップ一杯の水を僕に持たせて「美味しい、美味しい」と言いながら飲ませたのです。
僕は最初不満でした。
でも、飲んでいるうちに水が美味しく感じられたし、飲み終わると喉の渇きも取れてました。
そこで母に「美味しかったねぇ」と言われると、それで満足してしまいました。
子供だったからそれで済まされたという見方もできますが、ときどき大人になってからもそのことを思い出すことがあるのです。
今の状況に満足できること。
これってとても大切なことがあるのです。
人間はすべての欲を満たすことはできません。
それに執着をしだすと大変なことになります。
現状で満足する。
そして幸せを噛みしめる。
欲に振り回されるのではなく従える。
幸せであることは、いつでも生み出すことができるのです。

