1976年の冬、中三だった僕は、国立西洋美術館でおこなわれた「ヴァン・ゴッホ展」の入り口に立った。
暗闇の中にぼうっと浮かび上がる「ひばりのいる麦畑」を観た。
高校受験の大事な時期にゴッホを観る。
それがどんな意味のあることか、大切なことか無意味なことか、当時の僕にはわからなかった。
その作品をひさしぶりにネット上で見た。
記憶の絵画より色が薄く感じる。
畑の麦はもっと黄色かったし、空はもっと青かったと思う。
今ではタイトルも「ヤマウズラの飛び立つ麦畑」と変わったそうだ。
ゴッホが心に描いたイメージを大切にしたように、僕も記憶の絵画を慈しもうと思う。


