自転車で走ろうとしたら、鍵が壊れてて開かない。
いくらやっても開かないので、自転車屋さんで直してもらおうと、後輪を持ち上げてせっせと歩いていった。
自転車屋さんまで二キロ弱。
しかし、五百メートルほど行ったところで、還暦を過ぎた僕は疲れてしまう。
それでもヒーヒー言いながら後輪を持ち上げてハンドルをヨレヨレと支えながら歩いていると、見知らぬおじさんが声をかけてきた。
「どうしたの?」
「鍵が壊れて自転車屋さんまで持って行こうとしています」
「鍵は持っているの?」
「はいここに」とポケットから出すと、パッとそれを取って後輪の鍵穴に刺す。
「何度もやったよ」と思ったが、おじさんはガチャガチャと鍵を回したりいろんなところを滅多やたらに動かしてみる。
パチン
なぜか鍵が開いた。
「アー、ハッハ」とおじさんは歩いていった。
あのおじさん、天使だなと思った。
No.05295 24.10.11 原稿執筆
何年も温めていたアイデアを文章化する。
「こんな表現になるのか」と驚きながら書いていく。
遊園地にいるような楽しさではないけど、そこはかとなく楽しいんだよ。
No.05294 24.10.09 アイスクリームメイカー
幼い頃、うちにはアイスクリームを作る機械があった。
円筒形のアルミ製カップに牛乳と卵、それからバニラエッセンスを入れて、モーターと羽根のついた蓋を閉める。
蓋にはコードがついていて電源に刺してスイッチを入れると羽根がくるくると回って牛乳や卵を撹拌する。
その機械全体を冷凍庫に入れておく。
するとアイスクリームの出来上がり。
牛乳と卵をただ凍らせるとガチガチのかたまりで食べられないが、この機械に入れておくと攪拌されてアイスクリームに空気が入り、柔らかくなる。
学校から帰って冷凍庫からコードが出ているとアイスクリームを作っている証拠。
それを見つけると母さんが盛り付けて出してくれるのが待ち遠しかった。
No.05293 24.10.08 ベートーベンピアノ協奏曲第五番皇帝
相方と話していて「あれって皇帝だっけ?」と言われ、ベートーベンピアノ協奏曲第五番を思い出す。
僕が小学生の頃に兄が三曲のピアノ協奏曲が入っているアルバムを買ってきた。
その中に「皇帝」も入っていた。
他の二曲はモーツアルトの二十番と二十七番。
どれもいい曲だけど、小学生の僕には「皇帝」が一番カッコよかった。
ピアノはゼルキン、楽団はニューヨークフィル、指揮はバーンスタイン。
久しぶりに探し出して聞いた。
No.05292 24.10.06 無人販売店
テレビで野菜の無人販売店を見た。
野菜が並んでいて、価格が書かれていて、買いに来た人はその金額をどこかに置いていく。
それで思い出した、ハワイ島でのこと。
車で走っていたらレイがたくさんかけてあったので、なんだろうと思って止めた。
歩み寄ると「レイひとついくら」と書かれていて、そばにはポストのような箱が置かれていた。
いくらだったが忘れたが、その金額をポストにいれ、レイを車で待っていた相方にあげたら、喜んでくれた。
ケアラケクア湾、キャプテンクックの碑が見えるところの近くだった。
No.05291 24.10.04 ギンナンの香り
近所の公園のイチョウの木がギンナンを落としはじめた。
舗道でたくさん潰れていた。
そこを歩きながら香りを嗅いで「おや?」と思った。
「懐かしい香りだ」と思ったが、そのことに違和感を覚えた。
以前だったら「臭い」と思っていたはずだ。
匂いに鈍感になったのか?
No.05290 24.10.02 覚醒
いろんな人が目覚めつつある。
資本主義が最善の社会ではないことに。
競争を煽って、土地にしがみつく。
取り合いをして勝てばいい。
そんな社会が本当に最善のものだろうか?
次の社会を夢見ると「アカだ」と言われて潰された。
いろんな可能性を抱擁しないかぎり次は生まれない。
No.05289 24.09.30 Bunzoの生チョコレート
生チョコレートをいただいた。
しかも、生チョコレートを産み出した人の作った生チョコレートだという。
小さな漆黒のキューブのまわりには、細かいカカオパウダーがうっすらとまぶしてある。
口に含むとヌマ〜ッと溶けて、カカオの味と香りが口と鼻を包む。
味蕾をチョコレートが溶けて覆う。
暖かいコーヒーを飲むとカカオの香りとコーヒーの香りがまざりあっていい感じ。
幸せ。
No.05288 24.09.26 繰り返しは何かを生む
繰り返すことで思いがけない何かが生まれることがある。
いつも同じ道を歩いていると知り合いができたり、いつも同じものを食べていると栄養が偏って病気になったり、いつもバカなことをやっているとあだ名がついたり、いつも音楽ばかり聴いていると作曲するようになったり、いつも同じ人と話しているとその人たちとしか通じない言葉ができたり、いつも同じことをしていると、ちょっと工夫してそれが遊びになったり、色々とそれまでには考えもしなかったことが生まれてくる。
それって、生命の成り立ちとも関係があるのではないかと空想していると、宇宙全体がそうなのかもと思うようになる。
繰り返し同じことを考えると哲学になる。
ホロンも繰り返しの産物だ。
https://www.youtube.com/watch?v=2QkwO8zWXxo
No.05287 24.09.25 ドルフィン
映画「2010年」の主人公フロイド博士の奥さんがイルカの研究をしている人だった。
それを見て、ベルギーで会ったキャサリン・ダジンスキー博士を思い出した。
ジョン・C・リリー博士とダジンスキー博士と一緒に食事をして、二人の写真を撮ってあげた。
当時はまだフィルムカメラで、現像したら二人にあげると約束していた。
ところが、ブリュッセル中央駅でフィルムを入れたカバンを盗まれてしまった。
東京に帰ってメールで事情を伝えて詫びた。
リリー博士は日本でも何冊か翻訳本が出ているからご存知のかたはいるだろう。
イルカの研究をした博士で、映画「イルカの日」のモデルとなった。
人間の脳についても研究したため、「アルタード・ステイツ」という映画のモデルにもなった。
ベルギーで会ったとき、ダジンスキー博士の研究についてほとんど何も知らなかったので、話題の中心はリリー博士の研究だった。
中学生のとき「イルカの日」を見て以来、リリー博士は僕にとっての憧れの人。
その席にダジンスキー博士がいた。
そのときの雰囲気が映画「2010年」の主人公フロイド博士の奥さんに似ていた。
それで28年も前にたった一度会ったダジンスキー博士を思い出した。
2000年前後にイルカの研究で御蔵島にいたことは知っていた。
でもわざわざ会いに行くという関係でもないので、ずっと会わずにきた。
ネットで調べたら、ダジンスキー博士は「ドルフィン」という映画にご本人が出演している。
会ったのは1996年で、まだ映画「ドルフィン」は公開されていなかった。
映画「ドルフィン」を探してみた。
アマゾン・プライムビデオにあった。
音楽はスティング、ナレーションは007を演じたピアース・ブロスナンだった。
アカデミー賞の短編ドキュメンタリー部門でノミネートされたそうだ。
イルカと泳ぐシーンを見て、かつて毎年のように御蔵島に通ってイルカと泳いだことを思い出した。

