ヴォイスヒーラーの渡辺満喜子さんと親しくしていただいていた。
あるときは江ノ島のお宅でテキーラを飲みすぎたり、化粧品の原料となる大麻畑で満喜子さんが歌い、僕がディジュリドューを吹いて伴奏をしたり、万喜子さんのヴォイス・ヒーリング・セミナーにも何度か参加させてもらった。
満喜子さんの歌を聞くと、ときどきゾクゾクッと寒気のすることがあった。
そのことを満喜子さんに聞いたことがある。
「つなぶちさんは霊的な感覚を寒気で感じるのかもね」
そう言われて、なるほどと感じた。
No.04695 22.01.26 K君と墓参り
大学生の頃、理系だった僕たちは、実験レポートの提出前に内容を照らし合わせたり、教え合ったりすることを口実に、仲良しがそれぞれ車で真夜中にファミレスに集まり、コーヒーを飲みながらいろんなことを話した。
ある日K君が「これから母さんの墓参りに行きたい」と言いだした。
一緒にいたT君と僕は驚いた。
零時を過ぎて、そろそろ帰ろうとか思っていたときにそんなことを言われた。
「もうすぐ丑三つ時だよ。こんな時間に墓参りしてどうするの?」
K君は「いいじゃん。きっと楽しいよ」。
どうしてそんな話になったのか詳しくは覚えてないが、「母さんに二人を紹介したい」という感じだったように思う。
K君は幼い頃に母親を失っていた。
その思い出のいくつかを聞いていた。
そういう文脈で断るほどT君も僕も冷淡にはなれなかったので、三人でK君の母親が眠る郊外にあった大きな霊園に午前一時過ぎに行った。
あたりは真っ暗。
だけど、幹線道路が霊園のそばを通っていたので、何も見えないというほどではない。
うっすらと影が見えるお墓がたくさん並ぶなか、K君は「こっこちこっち」と母親のお墓に向かって歩いて行く。
怖くないというわけではないが、怖くてたまらないというほどではない。
K君の母親に会いに来たのだ。
「ここだ」と言って一つの墓石を示された。
暗くてよく見えないが、そこで三人で手を合わせた。
すると「鈴の音が聞こえたね」とK君がいう。
「きっと母さんが喜んでいる」
僕には聞こえなかったが、否定はできなかった。
そして、本来であれば怖いはずの、見知らぬ霊園の真ん中にいて、思い出話を聞いていたK君の母親といると思うとさほど怖くはないという、不思議な感情を味わった。
No.04688 22.01.19 怪談
幼い頃、怪談を聞くのが好きだった。
あの、怖くてぞわぞわする感覚に酔った。
兄がよく体験談をしてくれた。
それを父に話したことがある。
「純ちゃん(兄のこと)こんな怖い経験したんだって」
兄が嘘をつくとは思えなかったので、その体験はすべて真実だろうと信じて話した。
すると父がこう言った。
「僕も一つだけ、僕の父さん、ようちゃんにとってはおじいさんだな、から聞いた怪談があるよ。聞く?」
もちろん聞いた。
祖父は戦前、樺太の真岡に住んでいた。
そこに知り合いの老婆がいて、その老婆は不思議な能力を持っていると噂されていた。
その老婆があるとき病気になり、町外れの病院に入院したそうだ。
祖父はいつか見舞いにと思っていたある日、夜に厠に行った。
いまでいうトイレだ。
当時のトイレは汲み取り式だから匂う。
母屋から少し離れたところに作られていた。
厠で用を足し、出てきて水道で手を洗おうとすると、水道が不思議な音で唸りだした。
驚いて様子を見ていると、震える水道の蛇口から水煙のようにして、あの老婆の顔が現れた。
驚いた祖父は「何をしている」と怒鳴ると、老婆はこう言って消えた。
「退屈だからねぇ」
翌日、町外れの病院に老婆に会いに行った。
すると老婆は祖父の顔を見るなりこう言った。
「退屈だからねぇ」
No.04679 22.01.07 ポトフ
しばらくポトフを食べてなかったので、相方にリクエストして作ってもらった。
ホクホクのジャガイモ。
香りのいい赤いニンジン。
柔らかく甘くなったタマネギ。
厚切りのベーコン。
そしてサッパリとしたスープ。
泣けるよ。
No.04669 21.11.27 石ころ集め
友人に石ころを集めている人がいる。
何年も前に見せてもらったときは、「なんでそんなことしているんだろう?」としか思えなかった。
ひさしぶりにお宅に伺うと「すごい」と思った。
置く場所がなくなってかなりの数の石を捨ててしまったという。
しかし、残った石はどれも宝石のようだった。
確かに単なる石ころなんだよ。
でも、集めて、選択していくうちに、一大コレクションになっていた。
大事に扱われるって大切なことなんだな。
No.04661 21.11.19 柿
庭になっていたという柿を知人からいただいた。
いただいたときはまだ硬かったのでしばらくおいて今朝食べた。
やっぱり両親のことを思い出す。
18.11.30のNo.03715に書いた話。
毎年硬い柿が好きな母は硬いうちに柿を食卓に出し、父は柔らかい柿が好きだったので怒る。
ニーチェは「夫婦生活は長い会話だ」と言ったそうですが、柿の話を思い出す度に「夫婦は永遠の会話だ」と思うのです。
なにしろ、毎年繰り返していた両親の会話を、二人とも亡くなってからも僕が思い出し、僕がこうして書くことで、誰かがその話をきっといつか思い出すんだろうなと思うから。
言語学者が、子どもがどのように言語を獲得していくのか研究するため、自分の幼い娘の会話をすべて記録して分析したことがありました。
予想では、新奇なことをたくさん話すのだろうと予測していましたが、実際には話題は限られていて、ほぼ毎日繰り返されることの些細な変化についてよく話したそうです。
両親の柿の話もきっと毎年些細な変化を繰り返し、最初は本気で喧嘩していたが、途中から毎年の恒例になり、そのうちに「また柿の季節になったねぇ」という意味を含んだ口げんかとなり、最後には「また今年もこの会話を繰り返すよ」と思いながら、談笑していたのかなと思います。
その毎年の変化に当時の僕は気づけず、本当のところは覚えてないのですが。
こうやって繰り返すことで、新たな発見があり、新たな概念が生まれ、それがいつしか新しい言葉として表現されるようになり、子どもは言語を獲得し、大人はさらなる気づきを得ていくのでしょうか。
No.04654 21.11.12 ぐるり。
訪問看護士で、写真家の尾山直子さんが写真展「ぐるり。」を開く。
尾山さんを知ったのはピース・キッズ・サッカーというNPOで。
当時はまだ学生で、必要なことを何でも楽しそうにやる子だった。
看護士になり、FB上で訪問看護士になったと知った。
大変な仕事をするなと思っていたが、仕事の傍ら美術大学の通信課程を終え、写真展を開くという。
内容は、訪問看護している老いた人と家族、その様子を撮ったもの。
専用サイトを見に行って、心をつかまれた。
https://gururi-2021.studio.site
No.04649 21.11.07 細野晴臣と彼らの時代
たくさんの好きだった曲の間に、いろんな人のいろんな思いがあったことに気づかされる本。
おかげで少し元気になった。
No.04646 21.11.04 サングラス
かつて母はよくサングラスをかけていた。
「まぶしいのよ」
僕が若い頃は「そんなにまぶしいかな?」と思っていた。
自分が年を取り、還暦ともなると、かつての母の苦労がわかるようになってきた。
晴れた日にはサングラスがありがたい。
No.04639 21.10.24 ナイト・レインボウ
本を整理していたら「Tales from the night rainbow」という本が出てきた。
No.04584に書いた「夜の虹」について書かれた本。
山崎美弥子さんに確かめたら、「はい。この本です」とのこと。
20年近く前にすでにその話に触れていたのに気づかずにいた。

