No.05479 25.12.15 初心

「初心忘るべからず」とはよく聞くが、自分の初心とはどのようなものか、考えてみるとあまり言葉にならない。
そもそも初心とは何か?
きっと人によって千差万別だろう。
農夫の、漁師の、芸術家の、サラリーマンの、AI技術者の、商売人の、銀行家の初心が皆同じとは考えにくい。
つまり、初心はみんな違う。
にもかかわらず、「初心」と聞くとわかった気になってしまう。
言葉って不思議だなと思う。
さらに調べると驚くことに気づいた。
「初心忘るべからず」という言葉は、世阿弥の「花鏡」という能芸論書に出てくるのだが、「是非の初心」「時々の初心」「老後の初心」とあり、「初心」に「物事を始めた頃の新鮮で謙虚な気持ちや、未熟だった頃の志を忘れてはいけない」という意味以上の意味を加えています。
日本の文化には「言葉以上の何ものかを汲み取る意思」があるように感じますが、「花鏡」の奥の段に登場するこの言葉は、深くそれを思わせてくれる話になっています。