昨晩は鈴村真貴子さんのピアノを聴いてきた。
鈴村さんは東京芸大で修士のときに主席で卒業したためクロイツァー賞を授与されている。
博士課程も履修し、プーランクの演奏法に関する演奏と研究で博士号を取得した。
10年前に「鈴村真貴子ピアノリサイタル〜フランシス・プーランク没後50年によせて」と題したリサイタルをおこない、その10年後の昨日、再びリサイタルを開いた。
10年前のリサイタルの様子は「水のきらめき」にあるので、「鈴村」で検索するとそれが読める。
さて、昨日の演奏だが、とても楽しめた。
一曲目は10年前と同じ「3つの常動曲」で始まった。
10年前に聞いて以来、僕もこの曲が好きになったが、3つのピースの一曲目「十分に中庸な速さで」で心を掴まれる。
こう書いてはなんだが、子供が書くような単純なメロディーから始まるが、それが転んで不思議な曲になっていく。
二曲目が「とても控えめな速さで」。
この曲の最後の二つの音が好き。聴くたびに笑う。
三曲目は「機敏に」。
プーランクはウィットに飛んでいる曲を書くが、タイトルの付け方も面白い。
これが19歳の作曲家のデビュー作だとは思えない。
この組曲は二年ほど前に鈴村さんが出した「フランシス・プーランクピアノ作品集Vol.1」に入っているので、最近では何度か聞いていたため、リサイタルでの微妙な違いに鈴村さんの感情の揺れを感じたように思った。
今回の演奏を聴いて思ったのだが、時々プーランク以外の作曲家の有名な曲がフッと思い出される瞬間がある。
もしかしたら、それもプーランクのウィットなのかも。
今回のプログラムの中心は「フランシス・プーランクピアノ作品集Vol.2」のものらしく、はじめて聴くものが多かった。
Amazonでそれを買おうと思ったが、「一時的に在庫切れ」となっていた。
鈴村さんのプーランクへの愛情は半端ではない。
プーランクはあの世で喜んでいるだろうな。