No.05430 25.09.12 観音三十三応現身立像

鎌倉 長谷寺の観音ミュージアムに観音三十三応現身立像がある。
観音経などに観音の化身として三十二の応現身が出てくるそうで(一体は観音様そのもの)、それら三十三体の仏像が展示されている。
帰ってから観音経を読んでみた。
観音経は法華経の観世音菩薩普門品を独立させたお経で、楠木 雅俊氏の訳した法華経のその部分を再読した。
すると、読みながら華厳教入法界品を思い出す。
観音経は観世音菩薩が民衆を教え諭すのに、いろんな姿になって教化することが書かれている。
そのとき相手に合わせて三十二の姿に変身して教え導く。
一方で、華厳経入法界品では、主人公の善財童子が五十三人の様々な人々や菩薩などに教え導かれる。
観音経では第三者からみて観世音菩薩が教えを説くさま、華厳経入法界品では、「観世音菩薩が導く」とは書かれてないが、様々な人々から教えを受けることで修行が進むさまを読まされる。
仏道に帰依して修行する人は、きっと自身が教えることで、三方からの体験を満たすことになるのであろう。
「第三者からの視点」「教え導かれるものからの視点」、そして「教える者からの視点」。
三方を十分に味わうことで、衆生には見えない何かが見えてくるのだろう。