No.05088 23.11.12 信じて味わう

見たことのない絵を見たり、聞いたことのない音楽を聴いたり、まだ読んだことのない小説を読んだりするのは、その作者や表現者のことを信じているから。
信じることができないと味わうことができない。
表面を撫でてすぐに腑に落ちる作品はそれでいい。
味わわないと感じることのできない何かがある作品とは、しばらくじっくり一緒にいたい。
奥に入ってはじめて体験できる何かが現れてくる。

No.05085 23.11.05 小鳥たちとの会話

うちの前にある桜の木にシジュウカラやメジロが高い声でさえずっていた。
そこでバードコールを出して鳴らしてみた。
すると、はじめのうちは鳴き声のやり取りができたのだが、しばらくしたら少し違う声が混ざっていると気がついたのか警戒音のような鳴き声になって、一斉にいなくなってしまった。
しばらく待っていると帰ってたきた。
小鳥たちは用心深い。
鳴き始める。
再びバードコールを鳴らすと、今度はそのやりとりに興奮していたようだ。
小鳥たちと意思疎通ができたようで楽しかった。

No.05077 23.10.27 鈴村真貴子ピアノリサイタル

昨晩は鈴村真貴子さんのピアノを聴いてきた。
鈴村さんは東京芸大で修士のときに主席で卒業したためクロイツァー賞を授与されている。
博士課程も履修し、プーランクの演奏法に関する演奏と研究で博士号を取得した。
10年前に「鈴村真貴子ピアノリサイタル〜フランシス・プーランク没後50年によせて」と題したリサイタルをおこない、その10年後の昨日、再びリサイタルを開いた。
10年前のリサイタルの様子は「水のきらめき」にあるので、「鈴村」で検索するとそれが読める。
さて、昨日の演奏だが、とても楽しめた。
一曲目は10年前と同じ「3つの常動曲」で始まった。
10年前に聞いて以来、僕もこの曲が好きになったが、3つのピースの一曲目「十分に中庸な速さで」で心を掴まれる。
こう書いてはなんだが、子供が書くような単純なメロディーから始まるが、それが転んで不思議な曲になっていく。
二曲目が「とても控えめな速さで」。
この曲の最後の二つの音が好き。聴くたびに笑う。
三曲目は「機敏に」。
プーランクはウィットに飛んでいる曲を書くが、タイトルの付け方も面白い。
これが19歳の作曲家のデビュー作だとは思えない。
この組曲は二年ほど前に鈴村さんが出した「フランシス・プーランクピアノ作品集Vol.1」に入っているので、最近では何度か聞いていたため、リサイタルでの微妙な違いに鈴村さんの感情の揺れを感じたように思った。
今回の演奏を聴いて思ったのだが、時々プーランク以外の作曲家の有名な曲がフッと思い出される瞬間がある。
もしかしたら、それもプーランクのウィットなのかも。
今回のプログラムの中心は「フランシス・プーランクピアノ作品集Vol.2」のものらしく、はじめて聴くものが多かった。
Amazonでそれを買おうと思ったが、「一時的に在庫切れ」となっていた。
鈴村さんのプーランクへの愛情は半端ではない。
プーランクはあの世で喜んでいるだろうな。

No.05069 23.10.16 昴の思い出

大学生の頃、香港・中国を旅した。
ビクトリア・ピークに登ったとき、一緒にいた香港人に「昴」を歌ってくれと言われた。
歌は知っていたけど、歌詞をすべて覚えてはいなかった。
すると、日本語を話せない香港人が、日本語の歌詞を全部教えてくれた。
それで「凄い歌なんだな昴は」と思った。
「昴」のアンサーソング「マカリイ」も良かった。
R.I.P.

No.05042 23.08.17 やなせたかし氏

小学生の頃、うちにあった歌唱集にやなせたかしのイラストが入っていた。
その頃にはテレビにもときどき出ていたし、「手のひらを太陽に」という歌の作詞もしていたから、とても有名なイラストレーターだと思っていた。
アンパンマンがアニメになり、誰でも知る存在になったとき、僕が歌唱集で見た頃は大変だったという話を聞いた。
氏が亡くなる一年ほど前、何かの企画でお金が足りず困っていたとき、知り合いが「やなせたかしさんに会いなさい」と言ってくれた。
理由を聞くと、「アンパンマンが出るまで苦労していたので、困っているクリエイターがいると助けてくれる」というのだ。
お目にかかったこともないのにそんなこと頼むのは良くないと思いお断りしたが、一度は会ってみたい方だった。

No.05039 23.08.06 クスコ

ふと、クスコを思い出した。
ペルーの都市ではなく、クスコというエレクトリックバンドがあった。
1980年頃、よく聞いていた。
あの頃はシンセサイザーが楽器として確立してきた頃で、クスコはシンセサイザーでペルーのパンフルートのような音を多用して、南アメリカの雰囲気を出していた。
日本をテーマにした曲も何曲かあった。
ネット上でさがして久しぶりに聞いた。

No.05018 23.07.08 ジョン・ウィリアムズの音楽

僕がジョン・ウィリアムズの音楽を意識し始めたのは「大地震』という映画の音楽からだった。
メロディーがいいのはもちろんだが、編曲にうなった。
金管楽器の使い方がうまかった。
次に驚いたのは『アイガー・サンクション』の音楽。
ジャズバンドの演奏にホルンがオブリガートをつけるのだが、それがホルン奏者にとってはなかなか難しそうな音域と音の飛び方でおこなわれる。
それがとってもかっこいいのだ。
このあとの活躍は僕が書かなくてもみなさんご存知だと思う。
『ジョーズ』
『スター・ウォーズ』
『未知との遭遇』
『スーパーマン』
『レイダース』(インディ・ジョーンズ・シリーズ)
『ET』
『ハリー・ポッター』など。
ジョン・ウィリアムス以前、映画音楽は何人ものヒットメイカーを生み出したが、それ以降は映画音楽といえばジョン・ウィリアムスという状態になった。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』で再び聞けて嬉しい。

No.05008 23.06.27 レインボウ・コネクション

カーペンターズの曲。
カレンが出来を気に入らず、一度お蔵入りになったものをリチャードが後年仕上げて発表した。
詩が素敵なので和訳した。

虹の歌ってなんでこんなにあるの?
虹の向こうには何があるの?
虹は見えるけど単なる幻。
スケスケで隠しているものなんて何もない。
そんなふうにいう人がいて、そのまま信じる人もいる。
私はそれが間違いだって知っています。
じっくりと観察してください。
いつか私たちはそれを見つけるでしょう。
レインボウ・コネクション。虹のつながり。
恋人たちと夢想家たちと私。

願いは聞かれ、答えも得られる。
誰がそんなことを言ったのでしょうか?
明けの明星に願いをかけるとき、
誰かが思いつき、誰かが信じたのでしょうか。
何が実際に起きてきたかを目を開いて見てください。
星を眺め続けることは確かにドキドキして素晴らしいこと。
でも、その先に見えるものは一体なんだと思いますか?
いつか私たちはそれを見つけるでしょう。
レインボウ・コネクション。虹のつながり。
恋人たちと夢想家たちと私。

みんなその魔法にかかっている。
きっとそれが魔法だと知っているのに。
あなたはずっと眠っていましたか?
ずっと「きっと魔法だよ」という声を聞いていましたか?
私は彼らが私の名を呼び続けていたのを聞いてきました。
若い船員を魅了して海にひきずりこむ囁きのように。
声は一つか二つかもしれない。
でも、無視するには難しいほど何度も聞いた。
私がそうあるべきと考えるような大切なこと。
いつか私たちは見つけるでしょう。
レインボウ・コネクション。虹のつながり。
恋人たちと夢想家たちと私。

No.04996 23.06.09 Thanksgiving

高校卒業の頃に学校のそばに「友&愛」というレンタルレコード屋ができた。
そこで「December」というレコードを借りた。
なぜそれを借りたかというと、そのレコードが輸入版で、しかも表紙の写真が美しくて切なかったから。
針を落とすとピアノのソロ曲集だった。
そのアルバムの最初の曲が「Thanksgiving」。
Emで始まる美しくて切ない曲。
しばらくして日本でもそのレコードが発売になり、さらに時間が経つと楽譜も発売された。
大学生になった僕はその曲を好んで弾いた。
そのレコードの奏者はジョージ・ウィンストン。
「Autumn」「Winter into spring」「Summer」と四季をテーマにしたアルバムをよく聞いた。
R.I.P.

No.04994 23.06.07 追憶

1973年に公開された映画。
このテーマ曲が有名で、いまだにあちこちでかかっている。
高校生の頃ブラバンで演奏したりもした。
テーマ曲は知っているが、映画は見たことないなと、大学生のとき早稲田松竹でかかっているのを見つけて観た。
名画座だからか、コマが飛んでいるような場面もあった。
話自体はあまりよく覚えてないが、あそこで観たことを忘れられない。
当時はボロボロな劇場だったが、今では綺麗になったよだ。
もう一度何か観に行ってみようかな。