No.05282 24.09.13 当たり前であること

日本にはたくさんの当たり前があってありがたい。
世界には日本の当たり前が通用しないことがある。
水道が飲める。
郵便がきちんと届く。
生卵が食べられる。
刺身が食べられる。
夜道を歩ける。
外でお酒が飲める。
など。
みなさん、ありがとうございます。

No.05279 24.09.07 男爵

高校一年のとき、吹奏楽部の先輩の髪型が良くて、「どこで髪を切っているのですか?」と聞いた。
「男爵だよ」
先輩とは中学も一緒だったので、男爵という理髪店はうちのそばにあった。
その理髪店の何がいいのか言語化するのは僕には難しい。
でも、なんとなく綺麗にまとまるのだ。
「他の理髪店と切り方が違うんですか?」と男爵で聞いたことがある。
「なんとかカットしているからね」
「なんとか」は忘れてしまった。
「それはどういうカットなのですか?」
聞くと、普通の切り方はこう、なんとかカットはこうと違いを見せてくれた。
でも、僕にはその違いをすぐには把握できなかった。
「そのカットはどこかで習ったのですか?」
「イギリスのヴィダル・サスーンで習った」
当時、ヴィダル・サスーンのシャンプーなどのCMが流れていた。
なんかすごいところで習ったんだなと認識した。
はじめて行ったとき以来、二ヶ月に一度程度、40年以上男爵に通った。
気さくな夫婦がやっていた。
のちのち知るが、ご主人は三代目で、創業120年近くの老舗だった。
先日行くと、「今月末で辞めるんだ」という。
「もったいない」とは思ったが、事情を何も知らない者がなんだかんだ聞くのは鬱陶しいだろうと思ってやめた。
お店がなくなると思うと、さて次回からどこで髪を切ったらいいのか困る。
髪を切ってもらうたびに心地良かったことを思い出し、「40年間ありがとうございました」と店をあとにした。

No.05262 24.08.12 大雁塔

大学生の頃、西安に行った。
街中を歩き回った。
町外れには城門があった。
大きな塔が二つあり、一つは大雁塔、もう一つは小雁塔といった。
三蔵法師が持ち帰った経典や仏像を保存するために作られたという。
大雁塔は中に入れたので一番上まで登って街を見下ろした。
碁盤の目のように道が走っていた。

No.05238 24.07.10 言語化しなくてもいい気持ち良さ

外国人旅行客が増え、渋谷も京都も街がゴミだらけにされているとニュースショーで伝えていた。
住んでいる人にとってはとても迷惑なことだろう。
それを見て思い出したのが、世界の多くの学校では生徒には掃除をさせないという話。
統計を取って調べたわけではないが、何かでそうなんだと聞いた。
多くの外国人にとって「掃除をするのは下層の人」という意識があるのかも知れない。
フランスの会社の日本支社に勤めていた友人が、フランス人がトイレを使ったあと、ひどく汚れているので「なんでだ」と聞いたそうだ。
質問されたフランス人はこう答えた。
「掃除する人の仕事を奪ってはいけないでしょう」
ここから推論すると、客人達は日本が美しいのは、ゴミ掃除をする人がたくさんいるからと思っているのかも知れない。
それは違うことを客人達に伝えたほうがいいだろう。
僕の母は、僕がゴミを出すと「よこしなさい」と言って、そのゴミを鞄に詰め込んで持ち帰っていた。
客人達はそのような感覚が理解できないのだと思う。
美しい日本、茶道や華道を生み出した日本を本当に味わいたいなら、その心も知るように、僕たちが言語化して伝えていかなければならないようだ。

No.05211 24.05.16 藤花のお茶

平等院では園内を一周して、ミュージアム鳳翔館を拝観し、鳳凰堂の中にも入れていただいたので、歩き疲れた。
疲れ切ったとき目の前に茶房藤花があったので、迷わず休みに入った。
宇治玉露の冷茶を頼んだ。
口に含むとその味に驚いた。
アミノ酸の旨みがあまりにも濃厚でお茶のようには思えない。
「本当か?」と思った。
そこで東京に帰ってからそこそこいいお茶を、茶葉を多くして水出ししてみた。
普段よりアミノ酸の旨みを感じる。
お茶でこれだけ旨みを感じるとは知らなかった。

No.05188 24.04.10 特急ラビュー

秩父からの帰りに特急ラビューに乗った。
レッドアローの後継機だ。
運転席の窓は丸くて、しかも外側がすべて銀色なので「地球が静止する日」のゴートというロボットを思い出す。
客室の窓が足元まで広がっているので、走っているところを外から見ると、乗客の姿が頭から足元まで見える。
速度が速いのであまりまじまじと見られることはないが、駅に着くとき心配だった。
実際にはホームドアで隠されるから平気だったが、駅で電車を待っている見知らぬ乗客が覗き込み、ビール片手にポテチを食べる瞬間に目が合ったのはドキッとした。
内装は壁がベージュ、シートは丸みを帯びていて、背もたれがレモンイエロー、座面が灰色。
レモンイエローの面積が大きいので、客室全体が黄色い印象になる。
斬新で、ちょっと昔のSF映画の宇宙船内のようだ。
日常から離れて異質な体験をするにはいい。

No.05173 24.03.17 コッペ田島

氷川台駅から成増駅まで散歩した。
成増駅にコッペ田島というお店がある。
はじめて入ってみた。
コッペパンにいろんな具材を入れて売っている。
一番安いのが「たっぷリッチコッペ」180円。
一番高いのが「たっぷり和風タルタルフィッシュ」390円。
他にも300円前後でたくさんのメニューが揃っている。
僕は「肉じゃがコロッケ」300円とホットコーヒー250円を頼んだ。
コッペパンは柔らかくておいしいし、コロッケは揚げたてのように温かかった。
コーヒーもこの値段では悪くない。
「ハムたまご」「ツナポテト」「濃旨ソースやきそば」「ハムカツ」
「海老カツたまご」「てりやきチキン」「サーモンクリームーズ」
「5品目のベジタリアン」「海老とアボカド」「炙りチーズチキンカツ」
あたりを食べてみたいぞ。

No.05157 24.02.26 蕎麦屋と本屋

蕎麦屋と本屋はかつてどの駅にも大抵あったように思う。
それが次第になくなっていった。
不景気だと言われているが、もしかすると違う問題なのかもしれない。
僕が幼い頃はいろんなものが不足していた時代から次第に豊かな時代へと移行するときだったので、商品は均一的なもので十分だった。
きちんと使えたり食べられたりすればよかった。
ところが豊かさが頂点に達すると、商品が画一的なものばかりでは売れなくなってきた。
それに不景気が重なる。
蕎麦屋と本屋はどちらも均質的な商売だった。
特徴的な蕎麦屋は現れたけど、多くは画一的だった。
本屋は日販とトーハンが出版流通を牛耳っていた。
だから特徴的な品揃えの本屋は特別な努力を強いられた。
このところ残っている蕎麦屋も本屋も、特徴的なお店が多いような気がする。
蕎麦屋は手打ちにするのは当たり前で、蕎麦をわざわざ畑で作ったり、蕎麦前を豊富にしたり。
本屋は何年か前から増えてきた特徴的な出版流通会社を使って個性的な品揃えにしたり、カフェを併設したり、文房具を売ったり、古本も扱ったり、シェア型書店にしたり。
この人本当に蕎麦が好きなんだなという人が蕎麦屋をし、本当に本が好きな人、または戦略的に発信したい人が本屋をやったりしている。
つまり、時代の要請による変化なのではないかと思う。

No.05154 24.02.21 自由に使える資源を持っている共同体がうまくいく方法

資源が豊富にあったとしても、もしそれらが自由に得られるとなったら、みんなで寄ってたかって取り合いになってしまうのが普通のことだろう。
それで資源が枯渇したり、どこかの団体か個人の所有になり他人は使えなくなったり、取り合いによって問題が発生して殺し合いになったりする。
人間は愚かだ。
でも、頭脳明晰な人はやることが違う。
2009年にノーベル経済学賞を受賞したエリノア・オストロムは愛称がリンというそうだ。
ここでもそう呼ばせてもらう。
リンはいろんな共同体を調べて、自由に使える資源をもし持っていたらどういうマネージをするべきかを抽出した。
その方法を中核設計原理(core design principales = CDPs)と呼ぶ。

CDP1 強いグループアイデンティティと目的の理解
CDP2 利益とコストの比例的公正
CDP3 全員による公正な意思決定
CDP4 合意された行動の監視
CDP5 段階的な制裁
CDP6 もめごとの迅速で公正な解決
CDP7 局所的な自律性
CDP8 多中心性ガバナンス

これだけの説明で理解できるが、わかりにくいところを説明する。
「CDP5 段階的な制裁」は、もし約束に違反した人がいたとしても、いきなり大きな罰は与えないということ。何度か似たような間違いを犯したら、次第に大きな罰を与えていくとうまくいくそうだ。

「CDP7 局所的な自律性」グループが大きくなり、局所的にグループとみなしても良さそうな規模になったとき、その局所的なグループを一つのグループとみなして独立させたり、自律性を与えたりする。

「CDP8 多中心性ガバナンス」グループが大きくなったとき、地域性や時間枠、参加者の属性などで小グループごとに独自のガバナンスを与える。

こうすると、幾つものグループが生まれ、それぞれに多様性が生まれ、しかも無駄な競争による消費やトラブルの膨張が抑えられるだろう。
いろんな共同体にも当てはめられるような気がする。
何かグループを運営するときに参考にするといいかもしれない。