No.05209 24.05.14 枇杷

この季節になるとあなたのことを思い出す。
毎年のように実をつけてくれた庭にあった枇杷の木。
肥料も何もあげなかったから、妙に酸っぱいその味。
でも、それが好きだった。
普通に売られているどんな枇杷も、あなたの味には敵わない。
幼い頃に食べた枇杷の種を庭に吹いたら木になった。
20年ほどして実をつけた。
四十過ぎで引っ越すとき、あなたを連れて行くことはできなかった。
今でもそれを悔いている。
ごめんね。