資源が豊富にあったとしても、もしそれらが自由に得られるとなったら、みんなで寄ってたかって取り合いになってしまうのが普通のことだろう。
それで資源が枯渇したり、どこかの団体か個人の所有になり他人は使えなくなったり、取り合いによって問題が発生して殺し合いになったりする。
人間は愚かだ。
でも、頭脳明晰な人はやることが違う。
2009年にノーベル経済学賞を受賞したエリノア・オストロムは愛称がリンというそうだ。
ここでもそう呼ばせてもらう。
リンはいろんな共同体を調べて、自由に使える資源をもし持っていたらどういうマネージをするべきかを抽出した。
その方法を中核設計原理(core design principales = CDPs)と呼ぶ。
CDP1 強いグループアイデンティティと目的の理解
CDP2 利益とコストの比例的公正
CDP3 全員による公正な意思決定
CDP4 合意された行動の監視
CDP5 段階的な制裁
CDP6 もめごとの迅速で公正な解決
CDP7 局所的な自律性
CDP8 多中心性ガバナンス
これだけの説明で理解できるが、わかりにくいところを説明する。
「CDP5 段階的な制裁」は、もし約束に違反した人がいたとしても、いきなり大きな罰は与えないということ。何度か似たような間違いを犯したら、次第に大きな罰を与えていくとうまくいくそうだ。
「CDP7 局所的な自律性」グループが大きくなり、局所的にグループとみなしても良さそうな規模になったとき、その局所的なグループを一つのグループとみなして独立させたり、自律性を与えたりする。
「CDP8 多中心性ガバナンス」グループが大きくなったとき、地域性や時間枠、参加者の属性などで小グループごとに独自のガバナンスを与える。
こうすると、幾つものグループが生まれ、それぞれに多様性が生まれ、しかも無駄な競争による消費やトラブルの膨張が抑えられるだろう。
いろんな共同体にも当てはめられるような気がする。
何かグループを運営するときに参考にするといいかもしれない。